移動支援ってどんな仕事?

こんにちは。
 
最近知り合いの方に、障害者支援の仕事がどんなものか話したところ、「…その”移動支援”って何ですか?」と聞かれました。私達は当たり前に使っている言葉ですが、一般的には馴染みが無いかも…
 
先日私が、車椅子のご利用者様と”移動支援”をしたときの一日を、例として紹介してみますね。
 
【*月*日 晴れ】
 
四肢不自由のご利用者A様は、屋外での移動は、車椅子を利用されます。お食事・トイレ・お着替えなどADL(日常生活動作)はご分でされます。発声は少し聞き取りにくく、私も慣れるまで苦労しました。
 
この日は駅近くの喫茶店にお迎えにあがりました。この喫茶店ではスタッフとして、健常者と一緒に障害者の方も働いています。
 
店内には、A様の他に、面識のある利用者様とご家族もおられました。障害者のご家族同士で連携・連絡し合い活動されておられる方は、都内では多く見られるように思います。
 
皆様にご挨拶済ませ、車椅子でお出かけです。この日はまず障害者会館に移動して、理学療法訓練に参加されます。駅前に移動し、バスに乗ります。
 
A様は、手すりに掴まりながらご自身で歩けるので、車体前側の乗車口から乗ります。私はA様の後について、畳んだ車椅子を持って乗車。後から乗る方の邪魔にならないよう、降車口近くに車椅子を置きます。
 
運転手さんには、先に気を利かせて、降車口にスロープを用意して下さる方もいます。A様は出来る事はご自分でやりたい方ですので、スロープは不要な旨伝えます。周囲の方の好意や手助けを、A様ご自身の自立心を尊重しながら受け入れるのも、ヘルパーの仕事になります。
 
目的地近くのバス停で下車して、障害者会館へ移動します。この日はかなり暑く、急いで到着。訓練には少し遅れての参加となりました。
 
この日の参加者は、理学療法士の先生、利用者様6名、訓練のボランティア3名、事務等担当されるご家族1名、利用者様のヘルパー2名。勿論皆顔見知りです。
 
訓練は、先生が主導してボランティアさん達と進めます。訓練中は、ヘルパーは基本的には見守りなのですが、利用者様が頑張れるよう声かけをしたり、お邪魔にならない程度に訓練のお手伝いをします。皆様気持ちのよい方なので、この場は私も大好きです。
 
最近知ったのですが、この訓練グループは始まってもう10年近くになるそうです。私はA様のヘルパーとして参加し、まだ2年ほどですが、ここ1年で利用者様も増え盛り上がっているように感じます。ただ訓練をアシストするボランティアさんがなかなか確保出来なかったり、事務のご家族の負担が大きかったりというお話も、聞かせていただきました。
 
以前、新しく訓練に参加される利用者様がおられたのですが、初めてという事もあり、少し緊張されたり、訓練している皆さんをちゃかしておどけたりという態度が見られました。
 
訓練の場になじめるよう、私含め皆でその利用者様に声かけし、雰囲気をほぐしたのですが、それを見ていたA様が、新しい人にばかり構っていると感じ、すねてしまった事がありました。
 
ヘルパーはあくまで利用者様の担当なので、持ち場を離れすぎるのもよろしくないですね。
 
参加される利用者様も、障害は様々なので、理学療法士の先生はそれぞれに合ったメニューを考え、無理のないよう訓練を進めています。健常者と同じ感覚で、頑張れ頑張れ声かけしていると、無理をして体調を崩されたり、怪我の心配もありますので。
 
2時間ほどで訓練を終えて、ご家族の用意して下さったお茶菓子を囲んで、参加者の皆さんで少しお茶をします。私の前に担当されていたヘルパーさんは、あくまで自分はヘルパーという姿勢だったので、輪には加わらずおられたそうですが、私は一緒に楽しめた方がよいのでお邪魔しています。まあ苦手な方もおられるでしょうし、どちらが正しいとか無いのですが。
 
会場を片付けてお別れの挨拶をし、帰途につきます。帰りのバスは混んでいる事が多く、積極的に場所を譲って下さる方は本当にありがたいと感じます。余談になりますが、私はヘルパーとして特に人の目に触れる公共の場では、笑顔でいるよう心がけています。多分周囲の方も声がかけやすいですし、障害者支援してる人って楽しそうと感じて欲しいでからね。ご自宅にお送りし、ご家族にご様子を報告し、退出して終了。
 
以上がA様と過ごすとある一日のご様子です。私は特に、A様を担当させていただくようになってから、地域の繋がりが身近なものに感じられたり、都内の交通のバリアフリーの様子、障害を持つ方の尊厳や自尊心のあり方について勉強することが出来、感謝しております。
 
話は変わりますが、私自身の事について少し語らせていただきます。
 
私は学生時代から劇団に所属し、お恥ずかしいですが役者では食べていけず、飲食業のアルバイトをしていました。お店を辞める事になり、求人広告を探していたところ、求人件数が多かったのが、飲食業と、看護師と介護。詳細を見ると、演劇と平行するのに時間に融通が利きそうで、時給も悪くないしという、あっけないきっかけです。働くのにはヘルパー2級の資格が必要で、都内のスクールに1ヶ月通いました。
 
しかし、講義を受けている時、「果たしてここを修了して資格を取れても、現場でヘルパーとしてやっていけるのかな、、、?」と不安を感じて、たまたま当時劇団でご一緒した女優さんが、介護事業所の事務のアルバイトをされていて、紹介していただきお話を聞く機会をいただきました。
 
その時印象的だったのは、スタッフが若く楽しそうに働いていた事、社長さんの笑顔が素敵で、初対面の私に何でも語って下さり、それがきっかけで、スクール修了と同時にお世話になることになりました。
 
良く言われる「介護は3K」ですが、確かに収入はもう少し上がったら、、、と思う事は正直ありますね。まあ私は劇団の食うや食わずが長かったので、人生お金だけじゃないし、利用者様やご家族から感謝を伝えられた時は、本当にこの仕事をやっていてよかったなと感じます。
 
この仕事をやっているうえで感じることは、後輩スタッフへ教える事の難しさ。特に知的障害の利用者様に関しては、OJTだけではなかなか伝えきれない事も多く、一律のマニュアルも作れないので、こまめに研修をして繰り返し伝えていく事が大事だと思います。劇団時代に、ワークショップ訓練を経験しているので、いつかその手法が介護の研修に生かせたらという気持ちもありますが、残念ながら形にはなっていないですね。
 
今年10月には、ケアマネージャーの試験があり、少しずつですが勉強もしています。自分の幅を広げる機会が持てるのは、幸せな事だと思います。
 
拙文に最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。障害者もお年寄りも健常者も、皆が暮らしやすい社会になることを願っております。